図書館の新刊コーナーに吉屋信子さんの「乙女コレクション」が二冊置かれている。中原淳一氏のレトロな装画眺めながら《これはキケンかも》などと思いつつ、その二冊を胸に抱える。隣には「村上春樹全作品」の第3巻。これも抱える。
目当ての井伏鱒二氏の本は一番最後に手に取ることになるのだった。
★吉田信子 著 『わすれなぐさ』
「乙女」と書いて「しょうじょ」と読ませる。「少女」と書いて「をとめ」と読ませる。「媚びる風」と書いて「コケットリー」と読ませる。そんな少女達に「平気のへいざ」と言われたとあっては瞬く間に虜にされますわ。純粋で美しい世界に潜むをとめその姿婀娜たるや。キケンですわよ。(ああもうこんな言葉使いに)
ながれのきしのひともとは
みそらのいろのみずあさぎ
なみことごとくくちづけし
はたことごとくわすれゆく
ウィルヘルム・アレント(上田敏 訳)